日本銀行の植田和男総裁は25日、東京・大手町の経団連会館で講演し、物価と経済の改善の流れが続けば、「政策金利を引き上げる必要がある」と話し、利上げに前向きな姿勢を示した。その理由として、過度な低金利を続ければ物価高が加速し、「後になって急速な利上げを迫られるリスクがある」ことを挙げた。
植田氏は、物価の影響を除いた実質金利が現在、大規模緩和を始めた2013年以降でかなりの低い水準にあると言及。このまま低金利を続けると、物価上昇率が日銀の目標である2%を上回って加速する可能性を指摘した。その際には急激な利上げを迫られる可能性があるとし、「物価の加速や金利の急速な上昇は、企業の前向きな動きを支え、息の長い成長を実現するうえでマイナスになる」と懸念を示した。
追加利上げの時期については、「今後の経済・物価・金融情勢次第」とし、「国内外の様々なリスク要因を注視する」と述べるにとどめた。
日銀は、19日の金融政策決定会合で、来年の春闘での賃上げ水準や、米トランプ政権の経済政策などを見極めたいとして、追加利上げを見送った。